今日は風が強かった。しかし、風自体はそれほど冷たくない。
 桜咲く公園では花びらが風に舞っていた。風の精霊が花びらで遊んでいるかのよう。

 大学の「写真部」の後輩からメールが来た。後輩と言っても昨年卒業したOGなのだが。
「今年の10月上旬か中旬にOB/OG展を開きたい」とのこと。参加の可否の問い合わせだった。

 ここの写真部は毎年現役を含めたOB/OG会を開いている。現役はここで学祭の模擬店資金をOB/OGから投資してもらい、これと自己資本によって材料などを買って商売する。経常利益によって打ち上げの宴会が催される。経常利益に相応しい宴会を行うため、出資者(投資したOB/OGと現役)は無料で参加できる。このシステムが長く続いているために、未だに現役とOB/OGとの繋がりは強い。
 私が所属していたときは写真部は男性ばかりで、そんなところに入部する女性は個性的な人ばかりだった。私が大学を離れてから、レンズ付きフィルムの爆発的普及と取り扱いやすいオートフォーカスカメラの発売、そして「写真を撮る」こと自体が知的でおしゃれななものだという認識が広まることにより、女性部員が急激に増えた。中には単なるファンションという認識にしか至らず、写真の面白さを理解する前に消える部員もいた。最もそれは男性でも変わらないが。
 モノクロ写真が主の活動。もちろん、フィルムの現像、キャビネや全紙への引き延ばしなどの暗室活動も。焼きの作業は快楽だ。橙色のランプに照らされた中、現像したフィルムをケースに挟み、引き延ばし機にセットする。印画紙の号数を選び、ピントを合わせ、トリミングしたりフォギーを掛けたりしながら露光する。露光した印画紙を現像液に漬け・・・像がぼんやりと、そして次第にハッキリと浮かび上がってきた瞬間!
 この快楽を知ってしまうと、止められなくなる。偶然と必然がブレンドされた創造の楽しさ。

 しかし、私は二度目の卒展の後、ほとんどカメラを触らなくなっていた。大量に保管しているフィルムの保証期限だけが過ぎ去ってゆく。理由は簡単だ、撮りたいものが何だか判らなくなったのだ。カメラを持って出歩くことが減ったために、ますます撮る意欲がなくなってゆく。
 また、「撮影者」に対して思うことがあった。「撮影者は主体足りえるのか?」 そんな考えが芽生え始めたのは、写真部入部早々のある出来事がきっかけだった。
 写真部OB/OG会に出席したり、学祭に遊びに出掛けたりと繋がりと保ち続けているにも関わらず、以降撮影したものは全紙に引き延ばしたいようなものは1つもなかった。

 が、そのような迷いに浸っているのもそろそろ止めにしたい。”扉を開けて”次の世界に入ろう。
> 1.0B展に参加する意志はありますか?
   現在、まともに撮影したものはないが、参加したい。
> 2.参加するとしたら、何点くらい出せますか?
   大きな事は言えないので、1〜2点ほどとしておきたい。
> 3.今後、写真展・グループ展をするときに参加呼びかけの連絡が欲しいですか?
   是非、連絡をください。
 と、返してみた。ダイスは投げられた。ファンブルするか、クリティカルするか、それとも・・・。

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