作業を中断して、宿泊施設に戻ると入り口に子犬がいた。まだ毛がもこもこしている。
首輪があるかと見てみると無い。跡の様なものがある感じなので、逃げたのか、放たれたのか。毛並みがいいので、最初からの野良犬とも思えない。瞳がクリッとしていて、とても可愛い。昔のサントリーのトリスか何かのCMに出てきた子犬の様。
 宿泊施設は独身寮。誰かがこの子犬に餌を与えているのだろうか?人懐っこく、遊んでくれるのを待っている。

 小学生の頃、遊び仲間と捨て犬を見つけたことを思い出す。神社の社屋の下、子供達の秘密基地のようなところにしばし隠して餌を与えたりした。その頃は実家に飼う余裕もなく、かといって他の友達の家も飼うことが出来なかった。結局、どうすることもできず、また捨てるしかなかった。子供であることの無力さを感じ、早く大人になりたいと思ったのはこの頃からだろうか。何かに対する憤りの裏側にはそれを解決できない自分の無力さに対する怒りがある。

 それにしても、放し飼いにしてはずっと居続けている。どうやら、飼い犬ではなさそうだ。となると野良犬か。
 野良よ、野良、お前は幸せか?くるりと巻いた尻尾をパタパタ振るわす、幼きその姿。野良犬は野犬と飼い犬の間をモラトリアム的に彷徨う。自由と安寧、どちらを得ることが幸福なのか?孤立と従属、どちらが辛いのか?
 
 何にしても、未だ飼うことの出来ない私はじゃれるお前と遊んでやることしか出来ない。見守ることしか。早く大人になりたい・・・

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