という小説の文庫本を昨日、買った。宮部みゆきという作家の本だ。割と売れている人らしい。惹句は「初の書き下ろし文庫。現代ミステリー長編!」
 久々のタイトル買い。『人生はRPGのようなのもの‥‥。』を標榜しているからには、このようなタイトルの本、チェックしないわけにはいかない。買うかはともかく。
 『ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。・・・』 ネット上の疑似家族・・・どこかで読んだような・・・(汗 事件の設定はそういう点で現状起こりつつあるものを先んじてネタにしている。

 サクッと読んだ。・・・失敗した(沈)。これが、ミステリーなのか・・・。キャラの流用という点では自己パロディ小説と言える。作者の「模倣犯」と「クロスファイア」という小説から1人ずつ流用しているのだが、どちらも読んだことのない者にとって、2人はよく分からない通行人だ。ゲームの解説本のNPC紹介文並の説明しかない。
 基本的にアイディア小説。昔のSF小説を読んでいるようだった。その人物の書かれ方といったら・・・尤も、売れている作家であることを考えると、このような薄っぺらな人物描写もネタ的な戦術なのか。それどころか、訴えたい戦略目標だったのかもしれない。

 R.P.G.という単語は理解されている様で理解されていない。作者は単語の意味を理解し、さらにその辺りを了解してタイトルに付けたのだろうか?スタイリッシュだとかいう感覚で付けたとは考えたくないのだが・・・。

 感想としては、「二兎追う者は・・・」といった感じか。読者を騙すことと、社会派的に訴えること。「家族」をネタにしなければもう少し「品がよく」なったろうに。

 この小説の構造は小説世界だけでなく、現実世界も浸食する。著者自身、そして読者も。その浸食を前に、私は口ずさむ。

  『人生はRPGのようなのもの‥‥。』


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