いぬもあるけば・・・「一気読み」
2002年3月29日 先日、購入した新書を一気に読んでしまった。もう少し時間を掛けて読もうと思っていたのだけれど。
「DV − 殴らずにはいられない男たち」 豊田正義:著 光文社新書
この本の特徴は、一ルポライターの視点で取材している点にある。実際には著者は男性問題に関わる市民団体の代表であるが、その立場から大上段に構えた考察や意見はほとんど見受けられない。そこに、この手の新書としては中途半端さというかしっくりこなさを感じるが、逆に著者がこの手のルポにとって必要以上に権威的な発言が危険であることを承知していることが判る。
ありのままの「事実」を知りたいと思うならば、一面からではなく他面から見る必要がある。DVという事象では、加害者と被害者という2つの立場がある。この本のもう1つの特徴は両者の声を聞き取っているところにある。加害者と被害者の話は微妙に違っていることが多い。その話のズレから。事象の全容が浮かびあがってくる。喩えるならば、立体視の如く。
加害者と被害者の話から浮かび上がってきたのは、3つの状態を繰り返し遷移する「DVスパイラル」とでも言いたくなるパターンによって、より激しく、より危険になってゆく関係嗜癖のそれ。
幾人かのインタヴューから、加害者の思考パターンが示される。章題がそれにあたると思う。章は4つ。それぞれ、「女はだまってついてこい!」、「俺のことを愛していないだろ!」、「俺は絶対に反省しない」、「俺の夢を奪った仕返しだ」。
DV防止法により、DVは犯罪であることが法律上明記された。今、DVの加害者は犯罪者として処理される。しかし、加害者の関係嗜癖者としての側面を把握しなければ、嗜癖からの回復というプロセスを提供しなければ、それは一時的な隔離処理でしかない。再犯、そしてさらに悲惨な事件の可能性は無くならない。
この本の中で著者はそこまで言及しない。知識は持ち合わせているはず。だがそれを言わない、断定しないのが、この本の特徴。
「DV − 殴らずにはいられない男たち」 豊田正義:著 光文社新書
この本の特徴は、一ルポライターの視点で取材している点にある。実際には著者は男性問題に関わる市民団体の代表であるが、その立場から大上段に構えた考察や意見はほとんど見受けられない。そこに、この手の新書としては中途半端さというかしっくりこなさを感じるが、逆に著者がこの手のルポにとって必要以上に権威的な発言が危険であることを承知していることが判る。
ありのままの「事実」を知りたいと思うならば、一面からではなく他面から見る必要がある。DVという事象では、加害者と被害者という2つの立場がある。この本のもう1つの特徴は両者の声を聞き取っているところにある。加害者と被害者の話は微妙に違っていることが多い。その話のズレから。事象の全容が浮かびあがってくる。喩えるならば、立体視の如く。
加害者と被害者の話から浮かび上がってきたのは、3つの状態を繰り返し遷移する「DVスパイラル」とでも言いたくなるパターンによって、より激しく、より危険になってゆく関係嗜癖のそれ。
幾人かのインタヴューから、加害者の思考パターンが示される。章題がそれにあたると思う。章は4つ。それぞれ、「女はだまってついてこい!」、「俺のことを愛していないだろ!」、「俺は絶対に反省しない」、「俺の夢を奪った仕返しだ」。
DV防止法により、DVは犯罪であることが法律上明記された。今、DVの加害者は犯罪者として処理される。しかし、加害者の関係嗜癖者としての側面を把握しなければ、嗜癖からの回復というプロセスを提供しなければ、それは一時的な隔離処理でしかない。再犯、そしてさらに悲惨な事件の可能性は無くならない。
この本の中で著者はそこまで言及しない。知識は持ち合わせているはず。だがそれを言わない、断定しないのが、この本の特徴。
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