前夜録画しておいた「あるある大辞典」という番組を見た。普段余り見ないのだが、『依存症』特集ということで録画した。割と視聴者が多いらしいので、この番組で取り上げられた影響は小さくないだろう。
 番組では依存症という聞いたことはあるけれど実態が判らないものを判った気にさせるために色々な実験を行った。ケータイを持っている人からそれを預かり、電源を目の前で切ったときにどう感じるか・・・そんな事信じられないと大騒ぎする人がいた。返すとさそく電源を入れて、着信を確認して一段落。「ケータイ依存」「メール依存」に陥りかけていると説明。ケータイを忘れたり、バッテリーが切れると落ち着かない。電波が弱いとイライラする。
 番組ではいつものようにこの現象が何故起こるのか、実験で確認していた。パチンコをしたことが無い人にパチンコをしてもらい、大当たりしたときに肉体に何が起きているのかを血液検査により神経伝達物質を測定していた。当たりがでると、脳内麻薬として知られるドーパミンが出、これによって大きな快楽を得る。このドーパミンに対する耐性が人を依存の深みに陥らせるという。ストレス社会ではドーパミンやノルアドレナリンを制御するセレトニンが多量に消費され、欠乏してしまうためになおさら依存に陥りやすいという。
 ここまではいい。問題はこれから先、「依存症にならないためには」。お題目を伝えるのがこの番組の真骨頂。「問題行動以外に多くの関心事を持つ」は有効だと思われるが、「問題行動を行う間隔を10日以上あけることでドーパミン受容体を減らす」などは余りに還元主義的でかつ実態を無視した話ではないだろうか。ケータイ依存という例を出しておいて、10日以上間隔を取れというのはナンセンスだ。
 結局、彼らは問題を理解していないのだ。パチンコ実験がそれを示している。彼らはこの実験の危険性を十分認識していたろうか?被験者が今後、ギャンブル依存になってしまう可能性に。当たりやすく設定されていたという話を聞いていたとしても、強烈で持続的な大当たり体験は被験者の脳裏に大きく刻まれてしまったはずだ。番組で特に「はまりやすいタイプ」とされた人の危険性は大きい。番組はこの実験にどれだけ責任を持てるのだろうか。
 情報ソースにも疑問があった。コメントしている専門家は心療内科と社会医学という分野の二人。妙に偏っている気がする。この偏りは情報操作として意図的なものなのか、それとも無知故なのか?
 結局、内容はおまじない的、似非科学的というか、トンデモ的というか・・・あの深夜の通販番組と同じ。如何に「科学的」という言葉に弱いかが判った。「科学的」「合理的」という言葉は現代社会の中で生き続けている数少ない『おまじない』だ。この番組の巧妙さはそのおまじないで視聴者を判断停止状態にした後、現代人が最も気に掛けてる『健康』に対する不安を煽っているところだった。それはマインドコントロールの基本に忠実で・・・

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