折角だ、まだ読み終えていない本を読んでしまおう。

「母親よりも恵まれた結婚ができない理由 著:岩月謙司」

 おそらく、私は著者とは友達になれない気がする。多少、近親憎悪的なものを感じつつ。

 本のタイトルは売れるように大概編集者が決めると聞くが、それにしても余りに・・・
 「同様の趣旨の本を世の男子青年に向けて出すことが出来るか?」という仮定をしてみる。「父親よりも恵まれた結婚ができない理由」。このタイトルを読んだ時に感じる妙なものは何だろう。これが「親よりも・・・」ならば問題ない。

 さて、人間行動学を専攻する著者はタイトルのそれを「母の呪い」という。キツイ言葉だが、似た様な概念は心理学でも見受けられる。
 が、著者は大胆にも「これこそが原因であり、これから逃れない限り貴女に本当に相応しい男性を見逃したり拒絶したりしてしまう。そして逃れるには離れて呪いの影響力を弱めるしかない。母はその人生によって培われた空虚な思いにより呪うべくして有る。その呪いと妬みは無自覚で、話し合いでそれを止めることは到底できない。」と大風呂敷を広げつつ、断定する。
 こんな調子で進められて行くのだが、どうも読んでいて気持ち悪い。家族療法家と似た様な論理のはずなのに、何故だろう。人間行動学という学問の範疇を越えた論理だからなのかもしれない。非常にフロイト的なのだ。心臓外科医がその肩書きで気功についての本を上梓するような。素人が思ったことを記した本と捉えた方がいい。でなければ、これほど自ら発する言葉に鈍感ではいられないだろう。

 世の女性ために上梓したつもりだろうが、その語り掛けや論理に多分に権威主義的でパターナリズムな匂いがプンプンする。女性賛美的な修辞が沢山見られるのだが、それは「女性は素晴らしい。女性によって世は成り立っている。『だから』女性は***しなければならない。」という形になる。これだけならばまだいいのだが、その先に「***する責任がある。***しない女性はダメだ。」という書かれていない、行間に潜む、暗黙の指示がある。結局、正体は世に言う「女性に優しいフェニミスト」的立場。著者は理解しているのだろうか?この指示が・・・「呪い」だということを。


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