いぬもあるけば・・・「粛々と実行」
2002年7月28日 ちょっと出遅れた。綾瀬駅についたのが開催時刻の13時。足立区勤労福祉会館和室で行われたオリュンポスの刃プライベ。10数名ほど集まった。自己紹介をした後、だらぽわとおしゃべり。北九州から駆け付けたなんて凄い・・・。
と、もう時間。次の目的地に行かないと。本当に顔見せだけの参加。急いで綾瀬駅に戻り、上野駅に。目的地の東京芸術大学 大学美術館に15時丁度に到着。風邪で来れなくなった方以外、全員遅れなしというのはさすが。揃ったところで先生からチケットを頂き、説明用にトランシーバーを受け取り、展示室にはいった。
7/16〜9/16まで開催されている「アフガニスタン 悠久の歴史展」。バルセロナやバリで実施された展示に近年の戦禍によってアフガニスタンから流出した文化財「文化難民」や現地文化財の悲惨な状況を伝える映像なども含めての展示。平山郁夫芸大学長の意向がかなり入っているのが判る。それは平山郁夫氏が現地でスケッチした作品も展示されているところ。自分のファンの方も見に来てくれるのではという戦略だろう。
最初に地下2階の展示室に。ここには、戦禍の合間の盗掘や盗難により海外に持ち出された文化財を流出文化財保護日本委員会が交渉して入手したものが展示されている。アフガニスタンが平和になったときに全て返却することになっており、この展示会の精神を示す展示になっている。海外と言ったが、ここに展示してあるのはおそらくほとんど日本で見つかったものだろう。バーミアン石窟寺院の大仏破壊は記憶に新しいが、石窟寺院の横穴には沢山の壁画がある。ムスリムのアフガニスタン人には無意味だが、東国の金持ち仏教国に持っていけばいい金になる。実際、買うし。・・・という訳で、仏教壁画の仏様の顔の部分だけが大量に日本に密輸入されるという構図。
それ以外のも展示初日数日前にアフガニスタンから到着した、タリバンから隠し守られた文化財も展示されている。それらは到着が遅れたため、図録にも載っていないという。カブール美術館は爆撃や火事場泥棒などで大量の美術品が破壊・盗難の憂き目に遭っている。美術館自体も爆撃の爪あとが残ったまま。偶像崇拝を否定するイスラム原理主義のタリバンは目に見えるそれを感じるものを全て破壊しつくした。小さな仏像はハンマーで打ち壊された。(そういう「かつて仏像だったもの」も展示されている。)その破壊の手から逃れるために秘密の地下倉庫の保管箱に隠されていた。先生が現地に行って交渉して借り受ける時の様子がNHKのドキュメンタリーや日曜美術館(まさに今日の。知らなかったので録画できかなった。)などの番組で放送されたらしい。
TVでは紹介されなかったろう話を聞いた。保管箱の鍵そのものはそれほど複雑なものではないが、鍵穴が3つあったという。バラバラの場所に住んでいる鍵の守護者3名が揃った時に、箱は開かれた。
階を変えて、第二展示室に。本来の展示品。予想以外のものがあって驚かされた。 ラピスラズリの原石。アフガニスタンが原産だとは。 4000年前、石器時代の人形。とても洗練されたデザインで、今でも通用する。 かつて、古代ギリシアの植民地だったこともあり、ギリシア神話の像や壁画が残っている。
これらの展示品を見ることで、アフガニスタンがギリシア美術、仏教美術、そしてイスラム美術などが時代と共に重ねられた興味深い地であることが判る。 実際に見ていると不思議な気分になってくる。ギリシア的な表情の仏像を見たりすると特に。
第二展示室の展示は、かなり気を使っている。フランスのギメ国立東洋美術館から所蔵品を借り受けている。そこでの展示以上の物にしないと。例えば、小さな頭部像の展示ケースではマウントメイキング(もしくはアームチュア)と呼ばれている方法で展示されている。ピアノ線などを使わず、1本のポールで固定する方法で、すっきりして見やすく、欧米では普通に用いられているのだが、手間が掛かる方法であるため、日本では余り行われていない。貸与してくれた美術館の学芸員が展示の様子を確認にくること、そして大学付属美術館という展示方法に対して啓蒙的立場であるということから今回はこの方法を採用したという話だった。学芸員も大変なのだ。
壁画の現物の展示では、所蔵美術館から光源の光量制限がある。紫外線で退色しないように。その辺を理解した上で見てみよう。
最後の第三展示室には平山郁夫学長のアフガニスタンのスケッチなどが展示されていた。少々政治色も感じるが、それは大人として承知の上のもの。良いことを為そうとするための方便(用語通りの意で)。アフガニスタン復興の為の活動。ここに国民の総意がなければ活動に対して税金を投入できない。まずは国民に広く知ってもらうことが必要。入館者数は国民の関心の度合いのバロメータとも言える。そういう点を踏まえても、この展示会は成功していると思う。私が想像したよりも多くの観客の姿から。明日には天皇陛下もいらっしゃるという話だ。
鑑賞後、2階の喫茶室で一休み。「水も滴る」的体験。メトロポリタン美術館ツアーの積み立ての話。うーん、行きたいなぁ。
そのまま解散と思ったら、美術館の裏側を案内してもらうことに。会議室にある機能的で座り心地の良い椅子。工芸デザインの教材としての意味合いがある。備品選択にも教育的要素を含ませているのが美術大学らしい。先生の研究室も拝見。展示会関係の書類などを見せてもらった。レジストラーという博物館内の職業があることを知った。
大学組織のヒエラルキーを空間表現したのかしらと思うような部屋割り。教授の部屋が個室で助手の部屋が大部屋というのは普通だけど、教授の部屋が2階で助手の部屋が地下2階というのは冗談みたい。助手というのは大変らしい。2年契約で、その先の保証はない。2年間の内に自分の研究の結果を出さなければならない。汚れ作業が多かったり、芸術活動の後始末などのために、洗濯機やシャワールームがある。
地下3階にX線撮影室や一時保管庫や収蔵庫がある。保管庫や収蔵庫の大扉はダイヤルとカードの二重鍵で重々しい。蔵をイメージして大扉は漆塗り加工してある。収蔵庫の大扉は黒紫色でその脇の消火栓扉までも類似色で塗装されている。これに関しては逸話がある。通常赤いものなのだが、それでは周囲と余りに合わない。合せられないか?と消防署と相談したところ、消防署が定める資格保有者がいれば可能という。そこで、数名でその資格を取るための試験を受けて取得し、ようやく望みの塗装になった。
滅多に見られない設備を見学することで、美術館が只の展示スペースではなく研究の場であることが改めて判った。先生が案内した意図もそこにあるのだろう。
上野の地を去り、幡ヶ谷に。18時ちょっと過ぎにたまははきに到着。開店8周年イベント。会費3K円で鶴の友上白呑み放題。最初に非売品の鶴の友グリーンボトルをお銚子1杯分頂く。お祝いに相応しい。ツマミは適宜出てくる。お赤飯のお握りから始まって、美味しいものが次々に。
てつやさんとかんぞうさんがやってきた。イベントの話をしたところ参加したいというので誘ったのだ。かんぞうさんが体調を崩して参加が危ぶまれたがどうにか回復しての参加。おかみさんは先日の事を覚えていたらしく、「ああ、このあいだの山菜のときの人達ね」と。
結構呑んで、気がつくと終電時間を過ぎていた。てつやさん達の部屋にまた厄介になることに。・・・・・反省(汗)。
と、もう時間。次の目的地に行かないと。本当に顔見せだけの参加。急いで綾瀬駅に戻り、上野駅に。目的地の東京芸術大学 大学美術館に15時丁度に到着。風邪で来れなくなった方以外、全員遅れなしというのはさすが。揃ったところで先生からチケットを頂き、説明用にトランシーバーを受け取り、展示室にはいった。
7/16〜9/16まで開催されている「アフガニスタン 悠久の歴史展」。バルセロナやバリで実施された展示に近年の戦禍によってアフガニスタンから流出した文化財「文化難民」や現地文化財の悲惨な状況を伝える映像なども含めての展示。平山郁夫芸大学長の意向がかなり入っているのが判る。それは平山郁夫氏が現地でスケッチした作品も展示されているところ。自分のファンの方も見に来てくれるのではという戦略だろう。
最初に地下2階の展示室に。ここには、戦禍の合間の盗掘や盗難により海外に持ち出された文化財を流出文化財保護日本委員会が交渉して入手したものが展示されている。アフガニスタンが平和になったときに全て返却することになっており、この展示会の精神を示す展示になっている。海外と言ったが、ここに展示してあるのはおそらくほとんど日本で見つかったものだろう。バーミアン石窟寺院の大仏破壊は記憶に新しいが、石窟寺院の横穴には沢山の壁画がある。ムスリムのアフガニスタン人には無意味だが、東国の金持ち仏教国に持っていけばいい金になる。実際、買うし。・・・という訳で、仏教壁画の仏様の顔の部分だけが大量に日本に密輸入されるという構図。
それ以外のも展示初日数日前にアフガニスタンから到着した、タリバンから隠し守られた文化財も展示されている。それらは到着が遅れたため、図録にも載っていないという。カブール美術館は爆撃や火事場泥棒などで大量の美術品が破壊・盗難の憂き目に遭っている。美術館自体も爆撃の爪あとが残ったまま。偶像崇拝を否定するイスラム原理主義のタリバンは目に見えるそれを感じるものを全て破壊しつくした。小さな仏像はハンマーで打ち壊された。(そういう「かつて仏像だったもの」も展示されている。)その破壊の手から逃れるために秘密の地下倉庫の保管箱に隠されていた。先生が現地に行って交渉して借り受ける時の様子がNHKのドキュメンタリーや日曜美術館(まさに今日の。知らなかったので録画できかなった。)などの番組で放送されたらしい。
TVでは紹介されなかったろう話を聞いた。保管箱の鍵そのものはそれほど複雑なものではないが、鍵穴が3つあったという。バラバラの場所に住んでいる鍵の守護者3名が揃った時に、箱は開かれた。
階を変えて、第二展示室に。本来の展示品。予想以外のものがあって驚かされた。 ラピスラズリの原石。アフガニスタンが原産だとは。 4000年前、石器時代の人形。とても洗練されたデザインで、今でも通用する。 かつて、古代ギリシアの植民地だったこともあり、ギリシア神話の像や壁画が残っている。
これらの展示品を見ることで、アフガニスタンがギリシア美術、仏教美術、そしてイスラム美術などが時代と共に重ねられた興味深い地であることが判る。 実際に見ていると不思議な気分になってくる。ギリシア的な表情の仏像を見たりすると特に。
第二展示室の展示は、かなり気を使っている。フランスのギメ国立東洋美術館から所蔵品を借り受けている。そこでの展示以上の物にしないと。例えば、小さな頭部像の展示ケースではマウントメイキング(もしくはアームチュア)と呼ばれている方法で展示されている。ピアノ線などを使わず、1本のポールで固定する方法で、すっきりして見やすく、欧米では普通に用いられているのだが、手間が掛かる方法であるため、日本では余り行われていない。貸与してくれた美術館の学芸員が展示の様子を確認にくること、そして大学付属美術館という展示方法に対して啓蒙的立場であるということから今回はこの方法を採用したという話だった。学芸員も大変なのだ。
壁画の現物の展示では、所蔵美術館から光源の光量制限がある。紫外線で退色しないように。その辺を理解した上で見てみよう。
最後の第三展示室には平山郁夫学長のアフガニスタンのスケッチなどが展示されていた。少々政治色も感じるが、それは大人として承知の上のもの。良いことを為そうとするための方便(用語通りの意で)。アフガニスタン復興の為の活動。ここに国民の総意がなければ活動に対して税金を投入できない。まずは国民に広く知ってもらうことが必要。入館者数は国民の関心の度合いのバロメータとも言える。そういう点を踏まえても、この展示会は成功していると思う。私が想像したよりも多くの観客の姿から。明日には天皇陛下もいらっしゃるという話だ。
鑑賞後、2階の喫茶室で一休み。「水も滴る」的体験。メトロポリタン美術館ツアーの積み立ての話。うーん、行きたいなぁ。
そのまま解散と思ったら、美術館の裏側を案内してもらうことに。会議室にある機能的で座り心地の良い椅子。工芸デザインの教材としての意味合いがある。備品選択にも教育的要素を含ませているのが美術大学らしい。先生の研究室も拝見。展示会関係の書類などを見せてもらった。レジストラーという博物館内の職業があることを知った。
大学組織のヒエラルキーを空間表現したのかしらと思うような部屋割り。教授の部屋が個室で助手の部屋が大部屋というのは普通だけど、教授の部屋が2階で助手の部屋が地下2階というのは冗談みたい。助手というのは大変らしい。2年契約で、その先の保証はない。2年間の内に自分の研究の結果を出さなければならない。汚れ作業が多かったり、芸術活動の後始末などのために、洗濯機やシャワールームがある。
地下3階にX線撮影室や一時保管庫や収蔵庫がある。保管庫や収蔵庫の大扉はダイヤルとカードの二重鍵で重々しい。蔵をイメージして大扉は漆塗り加工してある。収蔵庫の大扉は黒紫色でその脇の消火栓扉までも類似色で塗装されている。これに関しては逸話がある。通常赤いものなのだが、それでは周囲と余りに合わない。合せられないか?と消防署と相談したところ、消防署が定める資格保有者がいれば可能という。そこで、数名でその資格を取るための試験を受けて取得し、ようやく望みの塗装になった。
滅多に見られない設備を見学することで、美術館が只の展示スペースではなく研究の場であることが改めて判った。先生が案内した意図もそこにあるのだろう。
上野の地を去り、幡ヶ谷に。18時ちょっと過ぎにたまははきに到着。開店8周年イベント。会費3K円で鶴の友上白呑み放題。最初に非売品の鶴の友グリーンボトルをお銚子1杯分頂く。お祝いに相応しい。ツマミは適宜出てくる。お赤飯のお握りから始まって、美味しいものが次々に。
てつやさんとかんぞうさんがやってきた。イベントの話をしたところ参加したいというので誘ったのだ。かんぞうさんが体調を崩して参加が危ぶまれたがどうにか回復しての参加。おかみさんは先日の事を覚えていたらしく、「ああ、このあいだの山菜のときの人達ね」と。
結構呑んで、気がつくと終電時間を過ぎていた。てつやさん達の部屋にまた厄介になることに。・・・・・反省(汗)。
コメント