いぬもあるけば・・・「台風一過」
2002年10月2日飯能出張。昨日の台風の影響の残滓は増水している川と歩道に散っている金木犀の花弁のみ。爽やかな秋の空。
とりあえず定時に上がったのだが、それでも池袋を経由して渋谷nestに着いた時にはすでに開演時間の19時を過ぎていた。
tef tefという姉妹ユニットがある。「遠くへ行きたい」というJR提供の番組を見ていたら、「ごちパラ北海道」キャンペーンCMのCMソングとして使われていた。確か始めてみたのはLa.mamaだったと記憶している。息の合ったハモリもそうだが、何よりその「若さ」が全面に出ているユニットだった。
9月頭に活動休止の挨拶とラストライブ開催のDMが届いた。どうやら、「惑い」の中に入ったようだ。トントン拍子にインディーズレーベルとはいえデビューを果たし、ライブを重ねてきたのだが、気が付くとどこに向かっているのか、どこに向かいたいのか判らなくなってきているようだ。DMの挨拶文を読みながら、改めて「初々しさ」を感じる。青年心理学を踏まえて捉えれば彼女達の『混乱』も了解可能だ。「先のことがみえなくて」「考えを形にするのはとても難しくて」「簡単にはまとまらない」「胸の中で音楽は鳴っているのにそれが形にならない‥‥」
そのラストライブが今日。会場を埋め尽くす大勢の人。既にゲストの演奏が始まっている。同じ事務所の辻カオリさんとラブハンドルスのうち、辻カオリさんの演奏は終わったようだ。ラブハンドルスはドラマ「アルジャーノンに花束を」の挿入歌として採用された歌のアレンジ違いの歌を歌っていた。近くにいた関係者達の会話から、このイベントは彼らのプロモーションの一環としての意味が大きそうだった。何よりそう感じたのは、配布物に辻カオリとラブハンドルスへのアンケート用紙があるのにtef tefへのアンケート用紙がなかった事だ。信じ難い。確かにtef tefに対してDMを配布するための顧客情報を得るという目的でアンケート用紙を用意する意味はないだろうが、彼女達を見届けるために訪れた人が彼女達に対して言葉を伝えるための手段は当たり前に必要だと思うのだが。客はライブでのアンケートはDMなどの情報が欲しいためだけに書くわけではない。そのライブの感想と出演者に対する言葉を伝えるために書く。商品としての価値の有無による扱いの違いは『すさまじきもの』なり。
ゲスト(?)のステージが終わり、tef tefが現れた。活動休止に際しての重さや暗さもなく、楽しいステージだった。前日のリハーサルで張り切り過ぎて、声を嗄らしてしまって本調子ではなかったのは残念。この様子だと、案外活動再開は遠くないかも知れない。
活動休止してから活動を再開する場合、その営業的成功の敷居は非常に高くなる。事務所との関係などを考えると。そういう事からすると、再デビューは難しいかもしれない。しかし、奥井亜紀さんや鈴木祥子さんなど同様に悩み惑ってきた人達を知っている。そして、ぱぶりかの面子を見ていても、一度音楽に身を委ねた限り、それを簡単に分離できない事も知っている。
おそらく、「音楽する」ことを彼女達は止めないだろう。歌いたい時に歌いたい歌を歌えばいい。どこかで、また。
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