いぬもあるけば・・・「映画『刻の涙』あらすじ」
2002年11月7日チャットで相談してまとまった映画のあらすじ。これを元に各PLがPCに演技をさせるロールプレイングを行うことに。
<配役>
女幽霊:
王子サマ(少年時代)、王子サマの孫:
王子サマ(青年以降):
霊感少年:
意地悪な妖魔:
運命の女神一号:
運命の女神二号:
狂言回し:
− 少年時代 −
映像がホワイトアウトしている中、波の音が段々聞こえてくる。最初は微かに、次第にはっきりと。
ナレーション(少女):『‥‥過去、現在、そして未来‥‥。思い出は脆く儚いものだけど、今でもボクの胸の中では朗々と輝いている。‥‥ボクは‥‥キミを‥‥忘れない‥‥ずっと‥‥いつまでも‥‥‥‥』
波の音は一瞬強まったと思うと弱まり、そして消えて行く。波の音が消える頃にタイトルが浮かび上がる。
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暗い舞台。トップライトが1灯だけ狂言回しを映す。。
「狂言回し」。白衣にサングラス。上からの強いライトで顔が良く見えない。
狂言回し:さて、ここに始まる物語。一つの哀しい物語。一つの幸せな物語。伝わらぬ想いを抱え続けるは苦痛。苦痛となるほどの想いを抱けるは幸福。苦痛と幸福は裏表。それを恋と呼ぶならば、これは永遠の恋の物語。フフフ・・・
(暗転)
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それは50年ほど前のこと。白い砂浜が続く海。日に焼けた少年と麦藁帽子に白いワンピース姿の少女。お互い一人遊びに興じていた二人は、一緒に遊ぶことに。兄弟のような、それでいて異性を意識している微妙な二人。楽しい夏の日々はあっという間に過ぎて行く。
「また来るよ。その・・・麦藁帽子を目印に。僕のこと、忘れないでね。」
(砂浜に伸びる2つの影が一瞬重なり、そして一つが走り去る。)
少年は街へ。少女はサナトリウムへ。
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(白くて殺風景な病室。ベッドの上の少女が激しく咳き込んでいる。指の間から滴る赤い液体がシーツを赤く染める)
「まだ、死にたくない。まだ、死にたくない。」
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夏。少年は洋上の船のキャビンに。父親が近づいて、話し掛ける。
「やっぱり日本にいた方がよかったか?」
「ううん。そんなことないよ。お母さんももういないんだもの。」
少年はそう言って振り返り、また遠くを、日本のあるはずの方角を見詰め続ける。
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意地悪な妖魔、運命の女神一号、運命の女神二号登場。衣装もメイクも演劇風。
狂言回しと同じ舞台。トップライトが照らすテーブルに座っている。
3人でおせんべいを食べながら、かしましくおしゃべり。女性週刊誌の記事をネタにしたような話し振り。内容はアドリブ。
キャラクターが描写されるような立場と考えを鮮明にすることを意識して。
女神はこれから紡ぐ運命についての見通しを語る感じか、おせっかいおばさんのような感じで。
妖魔は玩具を見つけたという感じで。
(最後は暗転)
− 青年時代 −
(「狂言回し」登場。白衣にサングラス。上からの強いライトで顔が良く見えない。)
狂言回し:海外生活を終えて、少年は帰ってきたようす。青年に成長して。少年を青年に成長させた年月は青年にとって少年時代を美しい思い出に変えてしまった。触れることのできない思い出に・・・
(暗転)
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鎌倉。少年は端整な顔立ちの美青年に。街道を歩いている。白いワンピース姿の少女が胸の前に麦藁帽子を抱えて、彼の進路上に立っている。どうしようかと悩んだ後に、少女は麦藁帽子を振りながら声を掛ける。(映像では口は開けるが、声が出ていない)
しかし青年は何も気付かずにすれ違ってしまう。まるで何も見えず聞こえないかのように。少女は立ちすくみ、そして振り返り涙乍らに叫ぶ(口パク)がそれすら青年には届かない。
一陣の風が麦藁帽子を少女の手から飛ばしてしまう。青い空に飛んで行く麦藁帽子。
東京。少女のアップ。少女の視線の先を追うと、青年の後ろ姿が。その脇に女性の姿も。時折、青年は脇の女性に顔を向けて喋っている(口パク)。とても幸福そうに。二人は人込みの中に消えて行く。
舞台。
妖魔登場。
女神一号登場。
女神二号登場。
先程の衣装で、別々に登場し、少女に語り掛ける。順番はその内容に合わせて決める。
最後の者が、舞台下手にあった大きな地球儀を目一杯回す。それが年月の経過を示す。
(カメラは回り続ける地球儀を次第にアップにし、最後に画面はそれだけになる。)
− 老年時代 −
狂言回し:せっかく、再び会いたい一心で「変わった」のに。彼は気付いてくれなかった。そして、彼だけが年を取って行く。少女だけが約束を交したときのまま。想いがここまで変わらないとは。これは奇跡か、それとも呪いか・・・
(暗転)
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九十九里浜に霊感少年が登場。8mmカメラ抱えて、どうやら撮影旅行のよう。
あちこちを撮影し、ふと足を止める。砂浜に少女の姿を見る。邪悪な気配があまりになかったので、最初気付かずに声を掛けてしまう。声を掛ける直前に身だしなみを綺麗にする仕草で彼が彼女の正体に気付いていないことを表す。
妖魔登場。
女神一号登場。
女神二号登場。
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小春日和。広い庭に出した安楽椅子に老人が揺られている。後ろ姿なので誰だか判らない。そこに少年とそっくりの子供が現れ、話掛ける。しかし、おかしなことに気がつき、慌てて人を呼ぶために走って行く。カメラは遠くから固定し、少年を追わず、ひたすら揺れ続けている安楽椅子を撮り続ける。特撮で老人の姿が消えたあとも安楽椅子は揺れつづけ、今度は麦藁帽子にワンピース姿少女が浮かび上がり、同じように揺れ続ける。そこに霊感少年が現れ、声を掛ける。その口調や表情から、幽霊にも関わらず少女に惹かれている様子が感じられる。少女は麦藁帽子を取り、それを手渡して、霊感少年に一言二言答えたようす。その返事に彼はショックを受け、麦藁帽子を抱えたまま歩き去ってゆく。
安楽椅子は揺れ続ける。少女が次第に消えた後も。
妖魔登場。
女神一号登場。
女神二号登場。
狂言回し:「幸福な王子」さまは「人魚姫」を残して去ってしまったようだね。それでも、「人魚姫」は約束を守るのかしらねぇ。
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また夏が来た。
少年が一人やってきて、山間にある小さなお墓にお墓参り。
そうしていると、霊感少年が現れる。手には麦藁帽子。
霊感少年が、少し複雑な表情を浮かべて麦藁帽子を手渡す。
女の子向けの麦藁帽子にも関わらず、少年はそれを受け取って。ふっと笑顔に。
二人一緒に墓を離れる。途中、霊感少年は振り返って、寂しそうに肯くそぶり。
二人が歩き去った後に墓に寄りかかっている少女の横顔がフレームイン。
微笑みを浮かべながら、ゆっくり瞼を閉じる。
カメラは生けられた白い花束を一緒に少女を映し、次第に引いて行く。
ある程度引いたら、どこからか波の音が聞こえてくる。
波の音が段々聞こえてくる。最初は微かに、次第にはっきりと。それに合せて、少女の姿は白の中にフェイドアウト。
ナレーション(少女):『‥‥過去、現在、そして未来‥‥。思い出は脆く儚いものだけど、今でもボクの胸の中では朗々と輝いている。‥‥ボクは‥‥キミを‥‥忘れない‥‥ずっと‥‥いつまでも‥‥‥‥』
波の音は一瞬強まったと思うと弱まり、そして消えて行く。波の音が消える頃にタイトルが浮かび上がる。
<fin>
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