メトロポリタン美術館を予定よりも早く追い出されたので、歩いてホテルまで戻ることにした。途中、セントラルパークに入って、散歩。ザ・レイクの辺りに着たらしく、ボートハウス併設のレストランが見えた。とてもいい感じで寄ってみたかった。時間がないので諦めた。
 ペセスダ噴水の広場で腰掛けて一休み。子供を連れた家族連れが多い。ベビーカーも。湖に目をやると、ボートが見える。‥‥何か聞こえる。カンツォーネだ。船上はかなり盛り上がっている感じ。
 また歩き出してしばらくすると音楽が聞こえてきた。DJの掛ける曲を聴きながら、ローラースケートで遊ぶという趣向? でも、皆、楽しそうだ。10代ではなく、20代の人達のこういう集まりは東京では余り見ないな。代々木公園では見られるかしらん?
 それにしてもリスが多い。思った以上に近くにいるのに驚いたり。人慣れしているのだろう。
 適当に歩いていたら、また5番街に戻ってしまった。そのまま南に下り、ロックフェラーセンターの前を通って、真っ直ぐ待ち合わせ場所の「アンバサダー劇場」に。今夜はツアーメンバーは二つに分かれ、片方はミュージカル、片方は買い物という按配。私はミュージカルを観ることにした。上司がニューヨークに行ったら必ず観ると言っていたので観に行ってみたかったのだ。今まで一度も観た事はないが、まぁ楽しめるはず。
 事前予約をしなかったので、当日手配できるのは「シカゴ」と「美女と野獣」だけと言われていた。それならば「シカゴ」かなぁ‥‥という事で、「シカゴ」を観る事に。大勢の観客が居たが、ミュージカルらしく観客の服装も様々。物凄いドレスアップしている人もいれば、かなりラフな人も。荷物検査はここでもあった。カバンの中を見せるだけだけど。劇場は思ったよりも奥行きが広くはなかった。後の席でも舞台にいる俳優の表情を見ることが出来るぐらい。もっと大きいと思っていたのでちょっと驚いた。
 演目の「シカゴ」。映画もあるようだが、そちらも観ていない。映画を見たことのある人から、あらすじなどを聞いて臨んだ。特別感動するという事はなかったが、愉しめた。チャーミングな女優達のダンスと演技は大人向けと言えば大人向けか。
 時間の関係で食事も取らないで観たのだが、上演終了後はレストランも終わる時間。ホテルの目の前のデリでビールとツマミになりそうな食べ物を買って帰った。部屋に戻って、チャットをしながらビールを飲んでいるととてもニューヨークにいるとは思えない。チャット相手がお昼頃であることを除けば。
 疲れを取るためにゆっくり風呂に入って就寝。
 
 
 
 朝、昨夜の残りもので朝食を済ませながら、夕方までの行動を検討。月曜日なので大概の美術館が閉まっているのは誤算だった。フリック・コレクションのフェルメールの作品が観たかった。これはまた観に来いという啓示か‥‥(違)。ガイドブックを見て、次に興味を持ったのがMoMAクイーンズだが遠いし、膨大な作品量故に消化不良を起こすので断念。大井さんに土産話が出来るかも‥‥イントレピッド海洋航空宇宙博物館。だが、他の人が持っていたガイドブックでは冬季は月曜閉館と書いてあった。ネットで調べたところ、どうもお休みの様子。とりあえず行ってみるのも手だが、開いてなかった場合、時間ロスが大きい。そこでツアーの現地スタッフに尋ねることにした。ANAのツアー事務所がシェラトン・ニューヨークにある。そこで、直接乗り込んで情報を得る事にした。情報は持っていなかったが、電話で問い合わせてくれた。博物館の留守電では開館しているが、ネットの情報では開いていない。そこで、ミュージアムショップらしいところに電話したところ閉館が正解。無駄足を踏まずに済んだ。
 目的地選定は振り出しに戻った。月曜に開いている美術館は‥‥。決めた。「グッケンハイム美術館」。メトロポリタン美術館の近くにある。‥‥ということは、ホテルから歩いていけるという事だ。
 20分後、アッパー・イースト・サイド、セントラルパーク沿いの5番街を歩く私が居た。豪華なアパートやホテルを見ながら、がしがし歩く。メトロポリタン美術館を越えてしばらくして、目的地の白いカタツムリ、グッケンハイム美術館が見えた。ここはこの建物そのものが美術品といえる。設計したフランク・ロイド・ライトの凝り性が伺える。
 中に入って、上を見上げる。を〜。面白い。スロープの幾何学的な配置がそそる。
 大型スロープは抽象絵画が飾られている。絵画よりも観客に目が行ってしまった。メトロポリタン美術館とは客層が違う。遥かに若い人が多い。まぁ、早い話が可愛い女性が沢山いたということで(ぉ。
 タンハウザー・ギャラリーで長い間過ごした。作品を観ていて飽きない。ルノアール、ドガ、セザンヌ、ピカソ、ゴーギャン、マティスなどの作品のどれもが味わい深かったが、特に味わい深かったのがゴッホの『サン・レミーの山並』だ。1889年に精神病院から見える景色を描いたものだという。その荒々しいタッチは強烈な印象を見る者に与える。
 しかし係員に注意されるほど近くに寄って見て判ったことがある。山と空の境界線を地面とも空の色とも違う濃紺の線でなぞっている。それが強烈な印象の原因なのであるが、実はこれは完全に境界を成していない。かろうじて『山の端』を示しているレベル。空と大地を分ける線の周囲にキャンバス地が顔を覗かせていた。果たしてそれは故意によるものなのだろうか。
 私の目にPBM的サングラス(ヲタグラス?)が掛かった。私にはこの濃紺の線が『境界』を危うくしかけている者の『叫び』に見えた。必死になって現実にすがり付こうとする者の命綱。ティンダロスの猟犬に追われし者。
 そして、この絵はかくし絵でもある。右の山肌に「腰掛ける男性の頭を噛み付こうとする、もしくは鷲掴みしようとするモノ」が描かれている‥‥ように見える。
 ゴッホはこの絵を描き上げたおよそ1年後にピストル自殺をしたという。
 妄想はゴッホの絵にクトゥルフ神話の影を見てしまった。逆に言えば、それほどこの絵は『やばい』。
 
 
 
 

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