いぬもあるけば・・・「ガイド」
2003年12月30日 「徹夜ー>夜更かしー>ON寝」という流れで危うく寝坊しかけた。11時過ぎに家を出発。目的地は昨日と同じ有明ビックサイト。町田さんの知り合いのドイツ人にコミックマーケット(以下コミケとする)を案内することに。
国際展示場駅に着いたので町田さんにケータイメールしてみると、どうやら私より少し後に国際展示場駅に着いたようだ。そこでビックサイトへの階段下で張り込みすることに。無事に二人と合流。当のドイツ人の彼は留学生ということで日本語が堪能だった。そのため、私自身の言葉で説明することができた。町田さんがドイツで行った展示会でお世話になった人と聞いていたので、40代ぐらいだと思っていたが、実際は30前後ではないだろうか。
まずは、西館屋上のコスプレ広場に。私自身、最近ここには訪れていないのでこれほど沢山の人がいるとは思わなかった。3日目だからか、特撮ものやギャルゲーの制服姿などが目に付く。アニメは割りと詳しそうだが、流石にギャルゲーは詳しくはないだろうから何のコスプレかを説明するのはちょっと難しかった。
彼からいくつかの質問があった。コスプレイヤーの中心年齢とその幅、ドイツでもコスプレイヤーはいるがここまでの規模で集まることはない。何故ここまでコスプレが広まっているのか?など。
中心年齢は高校、大学生辺りで下は小学生、上は30代ぐらいだろう。アメリカのSF大会でSF映画(スーパーマン、スターウォーズ、スタートレックなど)のキャラクターを模したマスカレードが発祥だが、それが日本SF大会で紹介され、ジャパニメーションのキャラクターを模すと言う独自の発展を遂げてきた。2次元のキャラクターの3次元化。振り返ると、マスカレード(仮装)からコスプレという名称の変化にも意味があると考えられる。「仮装」という言葉には仮装する本人に強度があるが、コスプレという言葉にはより「なりきる」ことに強度がある。比較文化論的には能と似たようなものかもしれない。
「コスプレ」という単語が今では普通に使われる言葉だが、20年ちょっと前まではSF誌、アニメ誌、ヲタク系サブカル誌ぐらいでしか目にしなかったろう。コミケでもどちらかというと異端者だった。それが変わったのは、うる星やつらのラムのコスプレで注目を浴びた一本木蛮さんが出てきた辺りだろうか。トラ柄のビキニ姿での闊歩は今でもキワドイ。彼女がそれをなし得た背景に、80年代の女性に対する抑圧の解放の流れを見ることもできるが、それは置いておいて。サッカーでカズが果たした役割が大きかったのと同様に、コスプレで一本木蛮さんが果たした役割も大きい。
そして、コスプレがコミケを中心に発展したことは偶然ではない。年に2回開催されるコミケは「祭り」としての機能を持っている。「ハレ」であるから、非日常的な行為を行う自分自身を許せる。コスプレは決定的に非日常だからだ。コスプレをしている時は誰でもヒーロー意識やヒロイン意識を味わえる。多くのカメラが向けられることもある。「祭り」だから何でもという訳ではない。コミケの元々の形態は同人誌即売会である。コミケの理念として「同人:志を同じくするもの」の集まりというものがあり、会場にいる人は売り手でもなく客でもない、「参加者」とされる。つまり、この空間にいる人達はそれだけで皆、仲間なのだ。そのような揺りかごとして安心感を与える場だからこそ、中高生も安心してキワドイコスプレできる。逆にいえば、そういう幻想が壊れたとき、全てが瓦解してしまう危険性もある。それは例えば、置き引きやスリなどの犯罪の発生など。イベントで若年層がコスプレを愉しむことができるというのは、その会場と参加者が安全であるということだろう。その点でも日本的と言える。 そんな感じで町田さんが戻ってくるまで常識的な知識を元に回答していた。
さて、町田さんが戻ってきたので、西館に入った。いきなり企業ブース。冬で良かった。夏のあの臭いがない。ガイナックスの出店などを回って東館へ。彼はドイツで映画祭を催したいらしく、ジャパニメーションのプロダクションにコンタクトを取っているらしい。
東館。町田さんがシルバーアクセサリーに興味があるということで、アクセサリーを即売しているサークルに。ここ数年、アクセサリーやドールとその衣装を扱うサークルが増えてきている。そこだけ別の空間になっているのが面白い。
途中で制服系の中に日向梓さんのサークル「水星少女歌劇団」が。二人に先に行ってもらい、挨拶。新刊は北海道旅行中に取材したお店の本とか。あ、プリムヴェールにも行ったのね‥‥というか行かないはずがないか(苦笑)。
その後、創作少女系を見て回ってから、町田さんが西原さんのサークルの新刊が欲しいということで、そのサークルを探す‥‥つもりが気がついたら、男性向け創作の中に。ロリエロ系のサークルの看板を見つつ「こういう本をつくったら、ドイツでは逮捕されます」という話に汗を流しながら、脱出。結局、『壁』であることが判った。「壁」という術語を説明しながら、目的地に。創作少年系を見ながら東1,2,3館を出た。そういえば、フランス人の人がサークル参加していたなぁ。日本風の漫画を描いていた。
通路を隔てた向かいの東3,4,5館に入った。目的は評論系。評論系がある意味で最も面白いところかもしれない。コミケほどの規模だからこそ即売会に参加できる、雑学系や実録裏話系。看護士、弁護士、教師や郵便局員、公務員などの裏話や自分の株式投資の話を本にしたり、自分で調査した美味しいお店ガイドなどなんでもあり。ここで風嶋みやさんにあった。ある実録サークルに参加していた。何故か置いてあるHD社追悼本を購入。表紙のイラスト、観たことあるなぁ。OMC絵師のあしゆさんか。あの方もPBMゲーマーだったのか。初日に会えなかったので、ここで会えて良かった。そういえば、もう一人、このジャンルに知人がいるはず。いた。今回も「ふーぞくのお時間」ということで、風俗関係に勤めている人へのインタビュー本を出していた。その辺りは風俗関係の人のサークルが連なっている。前回、本を買ったサークルも今回もあった。風俗嬢の体験談本。こうやって本にする事で、事象を客体化することができる。女性同性愛者の実録本も然り。今回の評論系で最も面白かったのは「出会い系サイトの実態の暴露本」。ほぼ全てがサクラのアルバイターがPBMさながらにロールプレイして相手の課金を継続させるメールを送っているという話。いくつかのサークルが似たような内容の本を出しているところからして業界標準なのだろう。写真なども別のところから購入したもの。さながらどころか、完全にPBMと同じ。違うのはPBMはお互いそれが架空であることを知っているけれど、出会い系は非対称だということ。つまり、出会い系とは「まるで本当の異性とメールをしているような気にさせてくれる」サービス。PBMは絶滅するだろうと思っていたのだが、まさかこのような形の異種が存在しているとは。逆に言えば、その辺りを「完全に」割り切ってやれば、それなりに面白いケータイゲームなのかもしれない。少なくともディスプレイの向こうには、茶髪の男性かもしれないが、人間がいるのだから。
それ以外にも「マリみて」の制服の型紙(青焼)とか、サザエさんパロディやドラえもんパロディなど。サークル「LOVE HUNTER」の「萌えドラ1」というドラミちゃん本は目から鱗。っていうか、これは猫耳兄妹本といった方が正解か。最後に東京大学メイド研究会の「メイド学撮要 全訂版」を購入。力作だ。
‥‥と、こんな風に私は買っていった訳だが、町田さんたちは流石に見て回るだけ‥‥いや、先程の「出会い系の暴露本」とか自主制作映画の資料とか死化粧の本とかを買っていたなぁ。
混まない内に撤収。観光が出来るようにと交通手段として「ゆりかもめ」を選ぶ。お台場界隈に留学生向けの寮があるらしいのだが、人気がなくてガラガラらしい。まぁ、新宿とかに出るには不便だし、コンビニとかも余りなさそうだからなぁ。それだけでなく、お台場海浜公園などの様子をみて「何をしに人が集まるのか?」と質問されて困った。だって、何もないのだもの。「カップルがデートする」といっても実態は「カップルがぶらぶら買い物する」という貧弱な行動パターンしかない。ここにしかない施設があるわけでもなく。いきなり、外の人々が虚像に見えてきた。
新橋駅で町田さん達とお別れ。不十分な案内だったが、多少なりとも誤解なしに実態を把握してもらえれば幸いだ。「参加者」としてそう思う。
真っ直ぐ家に帰るつもりだったが、このまま帰るのも面白くないと、アキバに。20時近くまでマクドで時間を潰してから今年最後の営業の「いざかや」に。流石に冬コミ後であることと、最終営業日であることもあって混んでいた。23時まで呑んで店を後にする。年明けは出張や旅行の予定があるので中々来れないだろうなぁと思いながら。
国際展示場駅に着いたので町田さんにケータイメールしてみると、どうやら私より少し後に国際展示場駅に着いたようだ。そこでビックサイトへの階段下で張り込みすることに。無事に二人と合流。当のドイツ人の彼は留学生ということで日本語が堪能だった。そのため、私自身の言葉で説明することができた。町田さんがドイツで行った展示会でお世話になった人と聞いていたので、40代ぐらいだと思っていたが、実際は30前後ではないだろうか。
まずは、西館屋上のコスプレ広場に。私自身、最近ここには訪れていないのでこれほど沢山の人がいるとは思わなかった。3日目だからか、特撮ものやギャルゲーの制服姿などが目に付く。アニメは割りと詳しそうだが、流石にギャルゲーは詳しくはないだろうから何のコスプレかを説明するのはちょっと難しかった。
彼からいくつかの質問があった。コスプレイヤーの中心年齢とその幅、ドイツでもコスプレイヤーはいるがここまでの規模で集まることはない。何故ここまでコスプレが広まっているのか?など。
中心年齢は高校、大学生辺りで下は小学生、上は30代ぐらいだろう。アメリカのSF大会でSF映画(スーパーマン、スターウォーズ、スタートレックなど)のキャラクターを模したマスカレードが発祥だが、それが日本SF大会で紹介され、ジャパニメーションのキャラクターを模すと言う独自の発展を遂げてきた。2次元のキャラクターの3次元化。振り返ると、マスカレード(仮装)からコスプレという名称の変化にも意味があると考えられる。「仮装」という言葉には仮装する本人に強度があるが、コスプレという言葉にはより「なりきる」ことに強度がある。比較文化論的には能と似たようなものかもしれない。
「コスプレ」という単語が今では普通に使われる言葉だが、20年ちょっと前まではSF誌、アニメ誌、ヲタク系サブカル誌ぐらいでしか目にしなかったろう。コミケでもどちらかというと異端者だった。それが変わったのは、うる星やつらのラムのコスプレで注目を浴びた一本木蛮さんが出てきた辺りだろうか。トラ柄のビキニ姿での闊歩は今でもキワドイ。彼女がそれをなし得た背景に、80年代の女性に対する抑圧の解放の流れを見ることもできるが、それは置いておいて。サッカーでカズが果たした役割が大きかったのと同様に、コスプレで一本木蛮さんが果たした役割も大きい。
そして、コスプレがコミケを中心に発展したことは偶然ではない。年に2回開催されるコミケは「祭り」としての機能を持っている。「ハレ」であるから、非日常的な行為を行う自分自身を許せる。コスプレは決定的に非日常だからだ。コスプレをしている時は誰でもヒーロー意識やヒロイン意識を味わえる。多くのカメラが向けられることもある。「祭り」だから何でもという訳ではない。コミケの元々の形態は同人誌即売会である。コミケの理念として「同人:志を同じくするもの」の集まりというものがあり、会場にいる人は売り手でもなく客でもない、「参加者」とされる。つまり、この空間にいる人達はそれだけで皆、仲間なのだ。そのような揺りかごとして安心感を与える場だからこそ、中高生も安心してキワドイコスプレできる。逆にいえば、そういう幻想が壊れたとき、全てが瓦解してしまう危険性もある。それは例えば、置き引きやスリなどの犯罪の発生など。イベントで若年層がコスプレを愉しむことができるというのは、その会場と参加者が安全であるということだろう。その点でも日本的と言える。 そんな感じで町田さんが戻ってくるまで常識的な知識を元に回答していた。
さて、町田さんが戻ってきたので、西館に入った。いきなり企業ブース。冬で良かった。夏のあの臭いがない。ガイナックスの出店などを回って東館へ。彼はドイツで映画祭を催したいらしく、ジャパニメーションのプロダクションにコンタクトを取っているらしい。
東館。町田さんがシルバーアクセサリーに興味があるということで、アクセサリーを即売しているサークルに。ここ数年、アクセサリーやドールとその衣装を扱うサークルが増えてきている。そこだけ別の空間になっているのが面白い。
途中で制服系の中に日向梓さんのサークル「水星少女歌劇団」が。二人に先に行ってもらい、挨拶。新刊は北海道旅行中に取材したお店の本とか。あ、プリムヴェールにも行ったのね‥‥というか行かないはずがないか(苦笑)。
その後、創作少女系を見て回ってから、町田さんが西原さんのサークルの新刊が欲しいということで、そのサークルを探す‥‥つもりが気がついたら、男性向け創作の中に。ロリエロ系のサークルの看板を見つつ「こういう本をつくったら、ドイツでは逮捕されます」という話に汗を流しながら、脱出。結局、『壁』であることが判った。「壁」という術語を説明しながら、目的地に。創作少年系を見ながら東1,2,3館を出た。そういえば、フランス人の人がサークル参加していたなぁ。日本風の漫画を描いていた。
通路を隔てた向かいの東3,4,5館に入った。目的は評論系。評論系がある意味で最も面白いところかもしれない。コミケほどの規模だからこそ即売会に参加できる、雑学系や実録裏話系。看護士、弁護士、教師や郵便局員、公務員などの裏話や自分の株式投資の話を本にしたり、自分で調査した美味しいお店ガイドなどなんでもあり。ここで風嶋みやさんにあった。ある実録サークルに参加していた。何故か置いてあるHD社追悼本を購入。表紙のイラスト、観たことあるなぁ。OMC絵師のあしゆさんか。あの方もPBMゲーマーだったのか。初日に会えなかったので、ここで会えて良かった。そういえば、もう一人、このジャンルに知人がいるはず。いた。今回も「ふーぞくのお時間」ということで、風俗関係に勤めている人へのインタビュー本を出していた。その辺りは風俗関係の人のサークルが連なっている。前回、本を買ったサークルも今回もあった。風俗嬢の体験談本。こうやって本にする事で、事象を客体化することができる。女性同性愛者の実録本も然り。今回の評論系で最も面白かったのは「出会い系サイトの実態の暴露本」。ほぼ全てがサクラのアルバイターがPBMさながらにロールプレイして相手の課金を継続させるメールを送っているという話。いくつかのサークルが似たような内容の本を出しているところからして業界標準なのだろう。写真なども別のところから購入したもの。さながらどころか、完全にPBMと同じ。違うのはPBMはお互いそれが架空であることを知っているけれど、出会い系は非対称だということ。つまり、出会い系とは「まるで本当の異性とメールをしているような気にさせてくれる」サービス。PBMは絶滅するだろうと思っていたのだが、まさかこのような形の異種が存在しているとは。逆に言えば、その辺りを「完全に」割り切ってやれば、それなりに面白いケータイゲームなのかもしれない。少なくともディスプレイの向こうには、茶髪の男性かもしれないが、人間がいるのだから。
それ以外にも「マリみて」の制服の型紙(青焼)とか、サザエさんパロディやドラえもんパロディなど。サークル「LOVE HUNTER」の「萌えドラ1」というドラミちゃん本は目から鱗。っていうか、これは猫耳兄妹本といった方が正解か。最後に東京大学メイド研究会の「メイド学撮要 全訂版」を購入。力作だ。
‥‥と、こんな風に私は買っていった訳だが、町田さんたちは流石に見て回るだけ‥‥いや、先程の「出会い系の暴露本」とか自主制作映画の資料とか死化粧の本とかを買っていたなぁ。
混まない内に撤収。観光が出来るようにと交通手段として「ゆりかもめ」を選ぶ。お台場界隈に留学生向けの寮があるらしいのだが、人気がなくてガラガラらしい。まぁ、新宿とかに出るには不便だし、コンビニとかも余りなさそうだからなぁ。それだけでなく、お台場海浜公園などの様子をみて「何をしに人が集まるのか?」と質問されて困った。だって、何もないのだもの。「カップルがデートする」といっても実態は「カップルがぶらぶら買い物する」という貧弱な行動パターンしかない。ここにしかない施設があるわけでもなく。いきなり、外の人々が虚像に見えてきた。
新橋駅で町田さん達とお別れ。不十分な案内だったが、多少なりとも誤解なしに実態を把握してもらえれば幸いだ。「参加者」としてそう思う。
真っ直ぐ家に帰るつもりだったが、このまま帰るのも面白くないと、アキバに。20時近くまでマクドで時間を潰してから今年最後の営業の「いざかや」に。流石に冬コミ後であることと、最終営業日であることもあって混んでいた。23時まで呑んで店を後にする。年明けは出張や旅行の予定があるので中々来れないだろうなぁと思いながら。
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