惹句には「超弩級のドタバタ学園ラブコメ! 凶悪!わがまま!・・・だけどドジ。」とある。
私にはこの惹句そのものがオブラート、もしくは手品のトリックのような気がしてならない。
惹句が表す<設定>は苦い薬を飲ませるもの、注意を逸らさせるもの、本質を覆い隠すもの。
 
同じようなアクセントを意図的につけるトリックは彼らの描写にも用いられている。
だからパッと見、竜児を「目つきが凶悪。でも家事全般が得意。」なだけのキャラ、大河を「見た目は妖精のような美少女。でも性格が横暴、行動がドジ。」なだけのキャラだと受け止められる。
確かにそれだけ取り上げれば、両者共によく見るドタバタラブコメに相応しいキャラだろう。
しかし1巻の内容をきちんと読み取ると別の面が浮き上がる。
 
竜児:
 母子家庭に育つ。
 家庭内では家事全般を受け持ち、家族間では精神的母親役を受け持つ。
 見た目と違い、『いいこ』。
 まるで言葉が判るような(逆に言えば、決して会話が成立しない)インコを家族とする。
 
大河:
 両親に精神的に捨てられている。
 家事全般が何も出来ない子供。
 「凶悪さ」の『ペルソナ』を付けている。
 「人形の家」のような部屋に独り住む。
 
 
 つまり、二人とも機能不全な家庭の日々を生き延びてきている。
そんな彼らの関係は一見すぐに良好になっても、関係が深まれば深まるほど難しいものになるだろう。
「竜と虎」という関係を維持発展させるために、互いに個々が抱える問題を解決していかなければならない。
解決のその先で、竜は竜であることをやめ、虎は虎であることをやめ、人間として出会えるのではないだろうか。

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